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一流カメラレンズメーカーとして名高い「カールツァイス」。このカールツァイスという社名は、創業者カール・フリードリッヒ・ツァイスの名前から付けたものです。
社名の由来を聞くと誰しも「カール・フリードリッヒ・ツァイス氏本人がこの会社を有名企業に育て上げたのだろう」と想像してしまいがちですが、それは違います。カールツァイスを大企業に育て上げたのは、共同経営者であるエルンスト・アッベです。
カールツァイスは1846年に創業し顕微鏡などの光学機器を製造し、大学に納品していました。そんな時、カールツァイスがイエナ大学で出会ったのがアッベなのです。そこで、2人は親しくなり、アッベが36歳の時には、カールツァイスの共同経営者となることを契約したのです。
まず、1879年アッベは研究を重ねて油浸式対物レンズを開発しますが、どうしても収差の影響が解消できません。そんな試行錯誤を続けていたある時、オットー・ショットという見ず知らずの人から光学ガラスのサンプルが送られてきました。
オットー・ショットは、当時ガラス熔融塊の化学現象を研究している博士で、ドイツで「ガラスに1番うるさい」とされたアッベに自分のガラスを試してもらいたかったのです。これ以降、アッベとショットは数年間にわたり、ガラスのサンプルの試験を何百回と繰り返しました。そして、1884年カールツァイスとアッベ、ショットによりガラス工場が設立され顕微鏡用ガラス製造という事業の基礎が固まっていったのです。
カールツァイスの死後、1889年カールツァイスの発展における最大の貢献者アッベによってカールツァイス財団が創設されました。
アッベはカールツァイス社・ショット商会の所有権全てを財団保持とすることで、今までのような資本家が従業員を搾取する体制を変えようとしました。資本家や企業としての正しいあり方を世界に先駆けて整備した結果、カールツァイスは世界最高水準の企業と評されるまでになったです。

前項目でご紹介したとおり、元々カールツァイスは顕微鏡レンズの開発から始まりました。では、なぜカメラレンズ事業が始まったのでしょうか?
カメラレンズ事業を始めた理由、それは顕微鏡レンズの性能を向上させるためです。アッベは顕微鏡よりも大量にガラスを使うカメラに注目しました。
カメラはガラスを大量に必要とする商品であり、ガラスの技術革新が激しいカメラレンズの業界なら顕微鏡レンズの開発に活かせるのではないかと考えたのです。そして、カメラレンズの事業開始後、アッベの名声に惹かれ、数々の一流技術者が彼の下に集まりカールツァイスは瞬く間に一流品のカメラレンズとなったのです。
このような優秀な人材たちの手によりカールツァイスは、1890年には、コマ収差と非点収差をなくしたアナスチグマートを開発しました。そして、この後もプラナー、ゾナーと立て続けに新しいレンズを開発し、1902年にはテッサーが大ヒットしました。この他にも、ビオゴン、ゾナー、ディスタゴン、ホロゴンなど数え切れないほどのカメラレンズが開発されています。
カールツァイスが、残した様々なカメラレンズの功績は、アッベをはじめとする多くの一流技術者の努力結晶に他ならないのです。

ツァイスイコンは1926年にカールツァイスがドイツ国内の有力カメラメーカー、「イカ」「エルネマン」「C.P.ゲルツ」「コンテッサ・ネッテル」の4社を統合することで創設した合併企業です。様々な企業の技術を集結させ、主に中判、35mm版において数々の名機を産み出した実績があります。
しかし、残念ながらツァイスイコン純正のカメラは1972年に生産中止になってしまいましたが、その使いやすさは今でも高い定評を得ています。
ツァイスイコンのカメラは、1926年の合併直後の時点で220機種、第2次大戦後ドイツが東西に分かれた時点で148機種がありました。しかし、148機種うち9割近くの機種はツァイスイコンの代表的ブランドのコンタックスにおされ、あまり注目を集めることができませんでした。
とは言え、そうした機種にも「ツァイスイコンらしさ」は濃厚に出ています。

カールツァイス財団傘下、ツァイスイコンの特徴。それは、機械精度・光学性能においてもレンジファインダーの限界を極めたカメラを作り上げてしまう点ではないでしょうか?
最上級の性能と信頼性を備え、撮影者の感性のままに全ての設定を自らの手で精密にコントロールすることができます。どのようにすればより良い写真が撮れるかなどを工夫する撮影工程を楽しむことができます。
また、何気なく撮った写真にすらも芸術的センスを漂わせてしまう機能性は、私たちの心に興奮と喜びを与えてくれます。
この様に私たちの感性に刺激を与えてくれる事こそ、まさしくツァイスイコンのカメラの面白み。また、ツァイスイコンのカメラには、どこか懐かしいクラシカルなデザインと使いやすさも備わっており、その形状と操作部は、目的に応じて的確な操作ができるよう設計されています。
オート、マニュアルのTTL露光測光やAEロック機能により、意のままの露出制御が可能となりました。ツァイスイコンは、極めて多彩な機能を持っており、これらの機能を活用することで、初めてフィルムからレンズに至る全てのシステムを効率よく使用できます。
カールツァイスレンズの性能を限界まで引き出す安定した精密なクリエイティブツールとして、ツァイスイコンを捉えてみてください。技術や創造の面でのさまざまな課題をクリアするには、それなりの実力を持つカメラが必要となります。
最高の光学設計を特長とするカールツァイスレンズ。そして、そのカールツァイスレンズに適した基準性能こそツァイスイコンが目指したレンジファインダーカメラだったのです。